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    栄養が脳に届くまで

     多く知る。沈思と午睡の狭間をたゆたいながら、充足を得るまで。
    「寝ているのか……紫苑?」
     人の寝顔を見るのは苦手だ。ちいさい頃に祖母を病気で亡くしたことが伊月の原初の記憶になっているからかも知れない。放っておくと少しずつ薄目が開いていく様を見て、物心ついてすぐの自分は目を閉ざすのも恐ろしくなった。
     今も眼前に横たわる人の中にすでに意がないような気のして……。
     ぱちんと撥ねた火の粉がどこかに行ってしまってやしないかと視線は宙を泳いで顔を見ることができない。
     布団くらいかけないと、薄曇りの夜はまだ冷える。そう思うのに少し重たい掛け布団に手をかけたまま(★肯定で)
     ぴり、と瞼のふちが電熱を流されたように痙攣した。寝顔に対する苦手意識? ――否、睫毛の先まで神経が通っていく感覚は、紫苑の深部が表出する前兆。
    「片桐、早く目を覚まして」
     埋もれていく。
     固まっていく。
     土の中に地表の裏に記憶の下に底無しの泥にずぶずぶと彼が沈んでいく。

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