忍者ブログ
04
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • 管理画面

    [PR]

    ×

    [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

    君は逆接の接続助詞

    散文しか書けない件について。陽羅の響い。

    追記 : 勢いで投稿してはいけない件について。

    …………………………

    【君は逆接の接続助詞】

     などのお題で考えてみましたことよ。
     君は逆接の接続助詞。
     ばみとんとん部長は比較の副詞上等編ね。芸術科は逆接の接続詞、もう片一方は発音記号。
     春日の娘はタリ形容詞かしら。そうしたら、おとうとはきっとナリ形容詞でしょうね。
     数詞の彼の眼鏡が映した風景の中で、順接接続詞が風鈴をならしてる。
     捉音便は可能動詞より軽やかな足どりで、教職課程をつっぱしる。
     あまりに勢いのあるものだから、格助詞の鎖でで繋ごうかしら。紙の上でつらつらと、できるできない否できる、振り子を揺らして考える。君は逆接の接続助詞。


    …………………………
    お題が徹底できませなんだ……。
    最初が小分類になっている時点で敗けですか。そうですね。

    拍手

    小噺ですよ。落ちはない

    「おまえ王子になに吹きこんでくれちゃったの!」
    「何のことでございまするかなぁ?」
    「そういう言い回ししてんのが犯行の証拠だっての。ちょっと人が免許とりに行っている隙に」
    「いやいや、おっしゃる意味がとんとわかりませんなぁ」
    「ちょっと啓ちゃん、耳揃えてオレへの借金返さなくていいから表出ろ!」
    「めんど」
    「面倒くない面倒くない面倒くないぞっ。王子の誤解とくために払ったオレの労力に比べりゃそんなん全然」
    「信じられた?」
    「鵜呑みにされちゃったともさ!」
    「日頃の行いのせいだと思わねぇ?」
    「思いません! オレがどんだけ誠心誠意、信念もって兄貴やってると」
    「どこらへんに真心とかが転がっておりますかな?」
    「大宇宙の片隅に」
    「よし、言質いただき。そりゃないに等しかりましょ、な」

    拍手

    ピアニシシモが聴こえない

     というタイトルで書こうとして挫折。
     タイトル先だとどうしてこう……。

     仕方ないので。

    …………………………
    【羅のあわい】

     夏の暑さが去り、前線が首都のあたりで国を分断するようになった。
     その南側に入るから、鳴海聖の頭上に雨が落ちてくれている。
     手入れを忘れた苔がしっとりとした弾力をもって足の裏を支えている。直径十数センチほどの水路から落ち葉をかき出してやると、溜まっていた雨水は裏の戸の向こうへ流れていった。
     鮮やかな色をしたナイロンの上着を着て、さらに庭掃除用の重たいエプロンを身につけている。あまり重いから、きっと掃除を適当なところでやめにするようにとのご意志なのだ。
     熊手から竹箒に持ち替えて庭石の上を払ってやる。小さな窪みに入りこんだ砂を、エプロンのポケットから取り出した歯ブラシの先を切って整えたのやスポンジやで払い落とした。最後に雑巾をかけて地面に落ちた葉をひとところにまとめる。季節の変わり目をふたつまたぐ頃にはすっかり土と同化していることだろう。
     いつものように蔵の前でエプロンを外し、雫を滴らせたハンガーに引っかけた。
     雨粒を水掻きでひき止めるように髪をかきあげると、とろりと溶けて零れていく。
    「今日もこうしてくれるのか」
     雲の向こうで丸い光が傾斜を下る。
     慣れた手つきで勝手口の鍵を回し、中からタオルを引っ張り出して被った。
     過剰な水分を吸いとらせ、サンダルを拭いて所定の位置へ放った。
     ゆるゆると黄昏の気配が近づいてきているここは母親の実家である。連れられてはふた月に一度、自発的にはひと月に二度、仕方なしに足を運ぶ回数も合わせると随分頻繁に訪れている気がした。
     とても居心地がいい場所だから、それでつい庭箒など持ち出したり障子を張り替えたりしてしまうのかも知れない。
     掃除を始めた頃は降り始めの少しばかり粒が大きい水が、色あせた如雨露の中へ飛びこんで、その素材らしい軽薄な音を立てていた。今は水が水を叩いて、細めやかな波に音を吸わせている。
     夏の間頑張りすぎて疲れたのだろう、踏ん張りきれずに光が坂を転がり落ちて、夜が来る。

    拍手

    あかいきつねとみどりのたぬき

     多分、陽羅の響いより。



    …………………………

    【春にはみどりのひとみのオバケがいる】

    「それで、その――王子先輩?」
     紙袋を手渡しながら、管の端が薄茶色くなってきた蛍光灯に積もったほこりから言葉を探すようにして、彼女は目を泳がせた。
    「何か」
     あまり嬉しくないお呼びなど、早々に退散したかった。鼻のあたりの違和感も手伝って、常より声が低くなる。ああ、これでは、声音で男と思われてもしかたなかった。部活でもしていない限りは用のない校舎は閑散としていて、だれも彼女を止めてくれそうになかった。
    「鳴海先輩の、先輩の……」
     福王寺を連れ出してくれるだろう人はどうやら渦中の人物らしい。これは来てくれた方が面倒になるな、と廊下の隅にたまった砂埃に目を落とした。気を配らず、丸く掃かれた軌跡が残っている。
    「君、あれに本気でむかうつもりか」
     つわものが残っていたのだな、と純粋に感嘆して、改めて眼前の少女の胸元を見た。一学年下の、最高学年生の色のタイを締めている。否、一昨昨日までの最高学年生のカーネリアンである。他校ならば微妙な位置の彼女は、当たり前のように二階にいる。歩いているうちにずれたのか、やわらかくなった上履きの先端で床を打った。
     中高一貫の弊害だ。まったくこの区切りの季節に新鮮みがなくなるのである。ただ少しクラスが変わるだけで、好意の在処や向け方にまで変化を生じさせない。
    「だって、それは、先輩が」
    「君、これは僕から渡した方がいいのか」
    「渡してください。そのプレゼントは先輩から。わたしは――わたしは」
     別のものを自分で私に行くという心づもりで、少女は人気のない廊下を走っていく。
     昨日街で見かけた軽い素材のコートのような淡い青の袋に小さなリボンが銀色のシールで止められている。秘めた色は極めてヤツが嫌っているものを思い起こさせる。
     曇り空の日曜日に生まれたのが悔しくて、春の薄い空の色を好むという。生まれてはじめてみた空は、この袋のや今日の空だったろうに、そんな言葉を平気で吐く。
     視線を投げた校庭から、彼の笑う声が聞こえてきた。昨日の雲はどこかに去り、乾いた小さな石粒が運動靴のゴムの隙間に挟まって絶妙の配置だったかしたらしい。笑声は彼が連れ出されるまで止むことがなく、ひらひらひらひら舞う光が紡ぐ布のようだった。
     黄色い砂やいきものの未来を運ぶ風が作る紗布の先で、一度だけ声が止んだが、すぐに別の聞き慣れた声と拍手の音が届いて来た。
     それが何なのかが解っていたから、頬を赤くしていた彼女に伝えなかった言葉を呟いてみる。
    「無理だから諦めろ」
     彼がいつも持っている鏡の中身や、あるいはたったいま流れだした横笛の音色を見つめる姿にはどうやっても近づけないのだから。
    「別格……だからっていきなり部活に呼ぶのか、ヒズ。神崎は知ってたからいいとして、萩は……ああ驚いている驚いている。そこまでした相手いないからな」
     家族はともかく、カノジョサンにでれでれする幼なじみだったか首をひねりつつ、とりあえずこの袋の中身はご賞味いただけるだろうと窓を開け放った。
     銀色のフルートがなめらかに輝きを返している。きっと彼女の背後に立てば、木陰で震える苦い赤を見つけることができるだろう。
     緑色のタイを風にさらして、しばらく風を眺めていたが、つい堪えきれなかったくしゃみで演奏を止めてしまった。
    「すまない、紗英先輩……っ」
     吹きこんでくる風の強さに目をつむりたくなりながら、福王寺は大きく手を振った。

    2006/4/3 HappyBirthday? H. Narumi


    …………………………
     補足。
     鳴海君は春休みに彼女ができました。福王子さんとはあれでそれであれだったりしますが基本家族。身内。

    拍手

    あ、送り忘れてた

     とす、どすどすんばさりどん、と紙袋の底が公園の土を擦った。
     こういった挙動でもう驚けない人種ばかりになってしまっているから自宅の前にある空間は本当に便利だ。
     この声と向かい合う声が少々大きくなろうと、またやっているのね、微笑ましいわぁ、で済まされる。そういう言葉を厭うように眼前のものはできていないし、この己もそういった贅沢はおぼえない。
     実に、遠慮のない場所である。



    【ディナーVコース】



    「あ、いやうん、その――すみませんでした!」
     慣れているのか、滑らかな動作で膝を折って三指をつく。ジーンズだから土で汚れたって別にいいと思っているのだろう、いささかの惑いもない美しい所作だった。
     明るい色の髪や細い革紐と銀の連なりが落ちて、地面を引っかいていた。
    「今日はバレンタインだったのか……そうか、それなら誘った日が悪かった訳だ」
     道理でずっと甘ったるい何かにつけ回されている気がしたのだ。ここ最近の体調が優れないのにも納得できた。だから気鬱を晴らそうと「今日」を選んだ福王寺がいけない。
     すっかりペンキが剥げたベンチの背もたれに体重をかけた。聖がこの日付にする行動は去年も五年前もその前も、変わらず同じだったではないか。
    「ほんとすみませんでした」
     だが、意外な気もしていた。常なら数刻置かず返信してくる聖が、六時間強も気づかなかったのだ。
     着信を彼の携帯に残してやったのは今朝の九時過ぎだったが、長くなってきた陽も傾いてしまっている。携帯を見たか? と尋ねたときの、何かオレやらかしたという音声は実に楽しませてくれた。
    「香澄先輩といたのか」
    「そのとーりです。啓ちゃんと秀太もおりました」
     どこにいたのか聞かないでいてやろう。
    「王子、王子」
     ふと気がつけば地に近かった聖の額が頭上にある。こいつ、いつの間に立ち上がったんだ?
    「心配させてごめんね、王子」
    「否、していない」
    「ごめんね。ああ、袋も下に置いちゃったよ、ごめんね! はい、美術科有志から。残りの袋はは雑多。にーろちゃんに啓ちゃん、高久先輩と喜一先輩からも」
     いくつかの紙袋の底を払い、福王寺の隣に座らせてしまう。今日は珍しく彼以外の誰かと会わずに済んだというのに。
    「突っ返していいか?」
    「ダメですー。ダメにきまってんですー」
     食べろ甘味一年分。高らかに笑い、彼は福王寺に渡さなかった紙袋からタブレット型の製菓用クーベルチュールの袋を取り出した。ビニールを破って指を突っこみ、人指し指と中指で挟んだ一枚を口のなかに放りいれる。
    「美味しいねぇ」
    「だろうな」
    「そっちの袋も負けずに美味しいはずだよね」
     微笑みをたたえて咀嚼している。そうするうちに喉仏が上下した。ほんの数年前まではこうもくっきりと見えなかったそれから首の筋を目で辿る。
    「……おーじ。王子」
    「何か?」
    「さっきのてがみのごようじなあに?」
    「……忘れた。朝の気まぐれなんてスキップしてどっかにいく時間だろう」
    「そうかもね。でも冷えていたら足が動かないかもしれない。それなら、どこかにだって行けないかも解らないね。王子、予定はないね?」
     二三枚減らした袋をしまい、代わりに折り畳みの携帯電話を開いた。
     カチカチ、カチと番号を呼びだした。

    拍手

    ひらあまつ

     音がしている。ひらひらと、
     音がしている。しゃらしゃらと、
     冬に見つけたぬくい光の音がしている。
     鳴海聖はすぅ、と深く息を吸った。


     樹上の声が響う。陽羅陽羅と、
     非常の楽が響う。紗羅紗羅と、
     雲上より射し来る光明の彩が空を伝う。
     朱金の鳥はキョウ、と音を渓谷に放った。

    拍手

    もにょ

    追加事項。鳴海聖の嫌いなもの。
    形状安定シャツ。

    拍手

    しろいはだ

     白い白いじゅにあさんのお肌。
     じゅにあさん完全復活絶好調。つられて白沢さんもにこにこにこにこ。汚れていても真っ白になれるなんて幸せなんですよ!

     そんなじゅにあさんを迎えるため(?)に設備投資的買い出しをたくさんしてきました。
     おかげで明日か明後日にお金をおろさなくてはいけません。
     いえね……ほ、ほら住み始めた時間から計算するとそろそろ3ヶ月消耗品とかを買い足さなきゃですね、いけないんですよね。

     借りたDVDを見つつ――(じゅにあさんが華麗なステップ踏んでいます)、オリジ制作中です。
     ポン、と降ってわいたネタがとてもしっくりきて、なんだか嬉しいです。うきうきしながら創作してます。
     視点人物に一度もなったことのない人を。
     彼女は一度も視点人物になっていなかったので、かなり注意を払わなくてはいけないんですが。どう、というか。なんというか。これまでまったく内面を描かずにきたので、というか文芸部メンツにも語らずにきたので、固まっていないのです。
     状況はあります。
     けれど何を知っているか今まで明確でなかった分、どう書けるのか心配です。とりあえずしばらくは彼女と二者面談しながら書きたいと思います。不思議生物を人間にしてきます。はい。

    拍手

    春日邸

     屋敷は春の陽ざしの綺衣をふわりふわりと幾重もまいて、たまごを守っているようにやんわりと建っている。うすく霞む山の端が空になじむようにして、ずっと昔からここにあると笑んでいた。
     絵の具を指で溶くような、画用紙の上で混ぜるような、完全なにじみの上にかすかな違和の跡を残して。
    「宗家」
     少年は屋敷の主を呼ぶ。
    「水仙はやっぱりもうおしまいですね。温室育ちのスイートピーもすっかりくたびれてしまいました」
    「温室育ちというのなら、次の株があるのだろう?」
     濡れ縁に座り、てのひらの上で玉を転がしていた男が振り返り、庭を仰ぐ。
    「それはもちろん。絶やすつもりがないんでしょう。園芸業者というのは夢見がちで無粋です。今は枝ですよ。裏の梅をもらってもいいですか」
    「かまわないよ。けれど花瓶はどうしようか」
    「黒いのがいいですね。あの、底が深緑の、少し縦に長いまるいのが」
     なめらかなガラスとまごうほど艶やかに澄んだ不透明の瓶の下には、
    「ああ、ススキを活けた花瓶だね。一番広い抽斗のなかによい紙があるから、よかったら敷きなさい」
    それがきっといい。はあい、と少年は軽やかな声で返事をして裏庭に駆けた。
    「時を調え――」
     宗家の声はよくとおる。雲の切れ間から射しているように、それであるとすぐわかる。春ながら、それでも際だつ光の色。万物明るく、そのためによく見えなくなる光だと。
    「時を調え……」
     はさみで枝を切っていく。
     ひとつの節目だと思う。義務教育がじき終わる。一応今月末まで中学に籍はあるがその刻限も近い。内部進学、中高一貫その言葉でずらしても花が季節を終えるように。
     一斉に花開きそのままであることは多分ない。
     春のかすみの光で守っても、たまごはいつかひび割れる。
     ぴんぽん。
    「客……? あ」
     手紙が、そういえば来ているから、今日はお客が来るんじゃないかな、と宗家が言っていたのだっけ、と春休みボケした頭を叩く。
     梅の枝を腕に抱え、表に回って閂を外した。
    「わーいい香りですねぇ」
     ラバーナムの花に似たゆるく波うつ髪の人に礼をとる。
    「お待たせいたしました、要さん。ご案内します」
     そして顔を上げ、後ろにいたふたりと目があって息だけでうめいた。
     割れる。たまごが。秋に隠したっきり忘れていたドングリの種から芽が出るみたいに明らかに。 

    拍手


    [1]  [2]  [3]  [4


        ◆ graphics by アンの小箱 ◆ designed by Anne ◆

        忍者ブログ [PR]