健康診断の時間待ちをしながら一冊購入&読了。
ポール・ギャリコ「七つの人形の恋物語」角川文庫H20年の改版を買ったのですが、帯が気にいらんだとか、装丁は無視することとして、やはり、68-69ページ。
「かな」はずるいという話です。おおよそ、「かな」をつけるタイプに落ちまくっている白沢ですから、想定内のことですが、狐萌えでいいんじゃねえの。いいじゃない! 訳者の手柄ですわ。
ギャリコさんは、「雪のひとひら」も読みましたが、訳者さんの手腕もあって、非常に気に入ったものです。翻訳本だけでも、ほかのも集めてみようかしら。
狐はムーシュの手のひらにあごをやさしくすりつけ、ふうっと深いため息をもらした。
「ほら、ぼくを見そこなってたのがわかったでしょう?」そしてムーシュに片目をつむってみせた。
狐はさらにムーシュの手のひら深くあごをうずめながら、
ムーシュは、まさか、そんなこと、信じられるもんですかといい返そうとしたが、そのとき狐は頭をもたげ、いま一度こちらを見あげたのだ。そして何かいいかけたなり、そのまま口をつぐんでしまった。それはおぼろな明かりとちらつく影のせいにはちがいなかったが、ムーシュにはそのとき、狐の小賢しいつんとした顔に、これでも信じてもらえないのかなといったある切ない訴えの色がよみとれて、
手のひらに顎乗っけた状態でその畳みかけ攻勢は卑怯なんだぜ……!
七つ、といえば――そですね、もしかすると、七つの大罪も絡んでいるのかも知れません。形代であり、火神(違う、鏡)であり、一人二役の役者のように。あ、それ関係でレビュー見たら多重人格と書いてあって、ありれ? と首を傾げたりしました。ああ、でもそう言おうとすれば、そうなのか。
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