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    うそつきうそつき は なーし

     こんばんは、しろさわです。
     前回のブログさんの記事と、色々相違していますすみません。
     本当なら、昨日か今日には更新をかけていたところなのですが、うっかり、梨が届いたという知らせを受けてさっくり実家に帰還して、貴重な休日を次元の海に投げ捨てたのです。次元航行隊の皆さん、どうか取りに行ってください……。


    …………………………

     呼んでいる。
     その声が聞こえる。しんと静まりかえった広場に、噴水の音さえ消えたベンチの上に丘の上から声が届く。
     呼ばれている。
     東の方からいつも呼ばれている気がしていた。
     その衝動に抗えなくて従兄を頼って都心に出てきたけれど、まだ声が聞こえている。ここまで来ただけでは足りないのか。
     紫苑は丘に建っている学校を見あげた。若干名しか募集しない高校時編入に引っかかれず、確認はできなかったが、声の発信源はあの学校に違いない。
     地を這うように。震動するように。砂地で地震が起きたようにして紫苑に届く。
    (……いつからだろう)
     同じ頃のような気がして、紫苑はいつものように首を傾げた。紫苑は、昔はもっと、と顔を半分隠す髪に手をやった。
    「前から、考えるうちにどんどん怖い考えになって」
     深く暗く沈んだりはしたけれど、それでもこんなにひどかったろうか。頭の中で地震が起こるほど、揺れる砂地に沈むほど、時に日常に戻れなくなるほど。昔はもっと――紫苑は静かではなかった気がするのだ。
     そしてどうして、ここにいるんだろう。南も北もわからない。
     紫苑は迷わずポケットを探って携帯電話を取り出した。一緒に行動できる昼間はともかく、夜はポケットに入れておくだとか、枕元に置いておくようにと指導を受けている。
    「……ごめん伊月。また迷ったみたいだ」
     声に寸断されていくように、四方と中央が意識から外れていく。
    『てめぇ、夜の徘徊はさすがにやめろ。うちのじいさんか』
     携帯もって行方不明になるだけマシだと思うのだが。町内放送で身内を捜した経験があるらしい友人の言葉に頭を下げながら、そんなことを思った。

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