【えっときっと好きということ】
ほんのちょっとあいしていて、ほんのちょっと距離が近い。近さの種別を隣の人は、自宅の距離と言うけれど、部屋の位置だと言うけれど、時々不思議にくすぐったい。耳の産毛がぶわっと立った朝焼けは壁の向こうが騒がしい。
【安全地帯の二本線】
渡りそびれた大通りの、安全地帯に乗っている。進まず、片側だけで三車線もある道のほとんど真ん中に呆然と立って、信号が変わるのをじっと待つ。すれすれを行く金属の固まりの排気ガスにあおられた。今朝の大雨の水溜まりが跳ねあがった。ほらきた進めとなにがしかが叫ぶ。
【傘を】
いかがと聞いたのに、どうして雨があがるんだろう。
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