忍者ブログ
07
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • 31
  • 管理画面

    [PR]

    ×

    [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

    30枚用

     30枚用の原稿にも手を出す。あ、前期号用も書かなきゃいけないのよね。
     どういう展開にしようか迷いつつも、見切り発車で書いてます。試作というか。

     うーん。ジェラルミン、てどういう物質なのか、ちょっと検索してみたい。使うことになりそうな気がする。ジェラルミンて、アレよね、アタッシュケースのアレでいいのよね? ううん。自分の知識はこういう方面が非常に足りない。じぇらるみーん。
     言葉濁して合金製、とかで逃げようかしら。




    …………………………

    【シーギディル】

     梢の間を冴えた風が渡っていく。旅人よ――、そう呼びかけて過ぎていく。その言葉を聞きながら、提供された乗り心地の最悪さに堪えかねて、周りの箱や毛織物を蹴った。これだから荷馬車は。
    「嬢ちゃん、見えたぜ」
     御者台から声がかかった。と、急に狭苦しい世界がつんのめって、頭をぶつける。
    「やっとついたの? ちゃんとシー・ギディルでしょうね?」
     荷物の隙間から顔を出して、老年にさしかかりつつある男に尋ねた。この少しの間で、もう頬が痛い。さすがは氷雪の山を背負う聖都――シー・ギディル。
    「疑り深いな、ちゃあんと教会の都さ」
     旅人よ――自由を捨て、宿を得よ――風がまた囁く。目を閉じて受け止め、だからシー・ギディルに赴くのだ、と首を引っこめた。
     嬢ちゃん――と呼ぶ声を荷物の中で聞く。箱越しに骨に響いて妙に籠った。長かった。この奇妙な反響から別れられると思うと、心が弾む。王国ギディルは南北に長い。巨大な港を擁する商都で船を下り、丘陵地帯の王都を中継地にして、最北の聖都までひたすら揺られてきた。
    「嬢ちゃん嬢ちゃん、やっぱり聖都へは、巡礼かい。それとも、埋葬?」
     幾度目の問いか。両手に余る回数であることは記憶している。ふ、と笑った。愚かな問いだ。確かに現在の教都は信仰の都だが。
    「小父さん。教会って何の略か、ご存じ?」
     大声でなければ届かないというのに、声を上げると響いて仕方ない。自分の耳を押さえて、半ば叫ぶように聞く。うん? と疑問が返ってきたのを確認して、強ばった肩をもみほぐした。
    「共通語教育推進会。――ここでいいわ。降ろしてちょうだい」
     また、つんのめった。ただし今度は急停車のため。馬のいななきが聞こえる。不満か。ならば次の命は、使われる側でない者になれ。布で覆った荷台から飛び降りて、己の荷物を引っぱり出す。

    拍手

    PR

    お名前
    タイトル
    文字色
    URL
    コメント
    パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
    非公開コメント
    [164]  [163]  [162]  [161]  [160]  [159]  [158]  [157]  [156]  [155]  [154


        ◆ graphics by アンの小箱 ◆ designed by Anne ◆

        忍者ブログ [PR]