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    だむさまこわい

     顔がにやけるのはどうにかした方がいいと思う。
     泣けばことが済むなんてわけがない。
     感情で仕事はなくならない。

     そんなわけで神城さんとおでえとしながら苛められてきました。処方せん……

     あの歌を忘れられる処方せんを教えてよ。
     雑多な苛立ちも忘れられたらいい。
     そうしたら持病から胃痛を外すことができるでしょう。
     頭痛と腹痛と吐き気眩暈は抜けないでしょうけれど。その程度じゃ倒れないから。動けるならば動き続けろ。そんな話を書いているんだから、僕は動き続けなくては。

     今日は、そういうことを知らなかった頃に書いたもの。百花雪月花。昔の。公私を分けることを覚える前と覚えたあとでは、とらえ方も書き方も、考え方も違うのだなぁ、と改めて思います。





    …………………………

     は――。少し……冷たくしすぎたかな……。
     タマネギの皮を生ゴミ箱に入れながら、少々の反省。
    「……」
     さっきの事は忘れたかの様に、柊はビーフシチューと戦っている。
     だけど、あーいう避けられない事は、ちゃんと言って置かなきゃな。って自分を正当化してるねぇ……。嫌になるなぁ……。
     十時十五分。開店四十五分前。店の入り口には《CLOSE》の札が掛かっていて、フロア担当に(勝手に)されたヤツらも、準備が終わったって所だろう。
     下ごしらえが必要な物はもう終わっている――つまり、やる事が無くなったって事だ。ふと……窓の外を眺めると、寒そうな空気が見える。
     ……十二月が半分過ぎたんだ。今日も、結構寒いのだろう。
     ここの開店はお昼時を狙っている。通学中のヤツらは眼中無しってヤツだ。やはり店主曰く、出勤時間狙いは、客も急いでるから嫌っ! らしい。せっかく入り口が大通りに面している好条件なのに。まあ、オレ達が来なければ一人で営業するつもりだったらしいから、仕方ないのだろうが。
     開店前の暇な時間に甘えていると、客に押されたりするから、そういう時間は持ちたくないんだが。
     仕方ない。入り口の掃き掃除をしよう。
     オレは、ハーフコートを羽織って外に出た。寒い……が、オレの故郷程じゃない。平気だろう――もっとも、ここ二~三年は日本に住んでいるが。
     庭箒――これが昔懐かしい竹箒で、掃き始める。やはり落ち葉とか枝だと、竹箒の方がいい。砂なら、意外な所でデッキブラシあたりが、非常によく持って行ってくれる。よく渡り廊下掃除の時に使ったものだ。もちろん、清掃用具予備庫から新品をくすねてきて。
     後で見つかって先生に怒られたが、こっちの方が能率がいいの一言で黙らせた。竹箒で砂を排除しろと言うのがいけないんだ。
     さこさこさこ。
     とか考えながらも、箒を止める事なく掃いた所為か、あっさりと掃き終わってしまう。
     暇になるのはゴメンだった。いい。道路も掃く。せめて歩行者用通路は掃く。
     この道は、大通りの名を一応持っているが、駅前通から二本程ずれた所にある。この時間なら車よりも、歩行者の方が多い。平日だから、なお人がいない。二十分近く誰も通らない時だってある。
     さこさこさこ。
    「おはよー」
    「早くない」
     掛かってきた声に覚えがあった。あっさりとツッコミを返す。
    「またおまえが最後だよ、店主――要」
    「酷いなー、同じ敷地に家建ってるんだから、起こしてくれたっていいじゃないですか」
    「いや……人の寝てるのを見るのは嫌いなんだ、オレは。……半狂乱の叫びを聞きながら、殴られて起きるのが希望なら――行ってやっても構わないが。
     あ? 要。おまえ……ここの二階に住んでいるんだよな? 何で店の中に繋がってる階段から下りて来ないんだ?」
    「あ、わたしは起きるのが遅いでしょ。それに、外の空気吸わないと目覚めきれないって言うか何と言うか……もう習慣だっから」
     習慣……ねえ。朝は二階から裏の方への階段から来て、帰り(?)は店内の階段から帰ると言う妙な事を要はやっている。
    「習慣、か。その口調も? 敬語とタメ口混ざってる。前から言おう言おうと思ってたんだが、おまえの《わたし》って言葉、平仮名に聞こえる……。柊達のは漢字で聞こえるのに」
     そう返すと要はにこにこと笑い、和やかに話しかけてくる。が、このまま話し込んではいけないとオレは自制し、忠告を要にしてやった。
    「急いだら? 開店十五分前をきるぞ」
    と。要は腕時計を見、慌てて店の入り口へ走る。
     カランカラン。と、いうカウベルの音を残して、店内に消えていった。
     そしてオレは――、すっかり綺麗になってしまった歩道を眺めた。
    「オレは何をやっているんだろうか。どうしてここにいるんだろうか……」
     あの冬こそが、二月のあの日が、総ての始まりだったのかも知れない。
     《鬼神》と一緒にいる異常は、あの日に始まった。天下無敵の方向音痴の所為で。
     ここの客は気づいてないんだろうな。店員のほとんどが人じゃない、なんて。
     神霊の器だったオレと、天狐の楓。飛鳥の葵と正体不明の紫苑。鬼神の柊――と、その内にいる橘。要も――人間にしては異質な感じがする。今の所、唯一の人間が、黍。
     ここまで人外魔境が揃った喫茶店も珍しいかも知れない。
     蜘蛛の巣やら何やらを取り払い、更に偶然通りかかった隣人と、他愛ない世間話を始める。
     話の途中でふと時計を見ると、開店間近となっていた。開店時間だからと話を止め、店の入り口に立つ。
     扉に掛かっていた《CLOSE》の札をひっくり返して、掛け直す。書かれた文字は当然ながら《OPEN》……。確認してからオレは、カウベルを鳴らした。じきに一番客が来る。

      片桐 紫苑――彼の場合
    「フッ……」
     何やら誇らしく彼女は笑った。開店三十分前。すっかり整ったフロアである。
     ちょっと前に桔梗が、庭箒を持って外に行った。多分、店の入り口でも掃きに行ったんだろう。
    「紫苑、何ぼけーっとしてるのよ?」
     何の反応も示さないオレに彼女――黍は言った。
    「あ、いや。何て反応すればいいか、わからなくてさ」   
     言い訳じみた(言い訳だ)事を口走ってしまう。
    「反応してよね――。せっかく自慢気に“フッ”とか笑ってみたんだからー」
    「ゴメンゴメン」
     笑いながら隣にいる葵を見るが――ヤツはまったく表情を変えずに、窓の向こうを見ている。チッ、あくまで参加しないつもりだな?
     カランカラン……。
     軽いカウベルの音がして、ドアが開けられる。
    「いっやー! 早いな、あなた達は」
     この店の主、要。二四時間営業のコンビニエンスストアの袋を手にして入ってくる。中身は多分、農協牛乳と、インスタント珈琲、パックの紅茶……。
    「開店十五分前」
    「……ぐっ……」
     容赦無しに葵が告げる。要――マスターと呼ばれるのが嫌らしいは、牛乳さん達を掲げて反論した。
    「しっ、しかーし! 愛しの珈琲、紅茶、牛乳は買って来ましたよ!!」
    「……だから?」
     冷徹だ。ある意味冷酷だ。要に同情の目を向けつつも、オレは葵の容赦無さ過ぎな態度に感心してしまう。
    「……わっかりましたよ。仕事始めますよ。……一応だけどさ、わたしが雇い主の筈なんだよな――」
     ぶちぶち文句を言いながら、店の奥へと要は消えた。
    「なーなー、葵ー。今のはヒドイと思うぞ。いくら要でもさ、雇い主だろ?」
    「そうそう。要相手でもヒドイよ?」
    「……お前達の方が……酷いとオレは思うんだが……」
    と、葵が言ったけど気にしない♪
     カランカラン……。
     がちゃ。と、ドアが開いて桔梗が入ってくる。
    「キミタチ。もう開店だぞ」

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