「おはよ」
「……おはよう。それ、客を迎える態度かい?」
「かーさんがヒズをとおしたんなら、そーなんじゃない?」
「コタツからでてこい」
「やだね」
「おはよ」
「おはようございます、ヒズ先輩!」
「今朝も元気だねぇ」
「はい! ヒズ先輩ご飯食べました?」
「いや、まだだけど。つうかまだ飯炊けてないし」
「うち来ます?」
「炊けてなくてもお米さん、炊飯器のなかで待ってるんだけど」
「おはよ」
「はやいな」
「日直で。福王寺もだろ?」
「ああ」
「そっちのクラス、英語早かったよね。ノートいい?」
「おはよ」
「おはようございます、だ。最後まで言え」
「おはようございます神崎先輩」
「よし」
「おはよ」
「おはよー」
う、の音までつづかない。銀杏のむせかえる匂いに負けて言葉がとぎれた。
「おはよ」
「おはよう」
「なんで逃げるの、にーろちゃん」
「逃げたいからよ」
「とって喰ったりしないわよ?」
「食われてたまるもんですか」
「おはよ」
「おはよ」
「行ってらっしゃい校庭五周」
「にーろさん、にーろねえさん、これにはワケが」
「遅刻は遅刻。陸上部短距離さん達の邪魔にならないように気をつけて」
「ラインかぶってんすけど……」
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