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    折しも雨でちょっとびっくり

     西村的キーは雨と風鈴と凛々という鈴の音。
     昔の人は、涙の音を鈴の音と言っていたそうで(万葉とかその辺)、でもそんなに音のイメージを重ねまくってどうするんだよと思いますけどね、なんとなく、イメージ先行だと雨と風鈴と涙の音。

     オリジナルの話を書いていると、ちょうどその接点が現れることがしばしばあります。

     Retroと陽羅月紗をつなぐ西村香澄と祖父義高だとか――。
     または最近設定を変えたせいで、境界が年代のみになってしまった陽羅月紗と百花だとか。
     あるいは、「旅人の歌、は」の水のピアノと天都風だとか。

     どこに分類すればいいのか、ちょっと悩むところでありますね。今書いているものもそんな感じで、果たしてこれは陽羅か、それともRetro西村か――悶々しながらブログのカテゴリ分けをしています。
     陽羅、かな、多分陽羅。
     視点人物が陽羅に所属しているから陽羅。
     Retro西村【積み上げてきた人生の終わる頃に】の続編っぽいけど陽羅。

     積み上げてきた人生の終わるときに。
     向き合うまで時間かかりそうとか言いながら、こういう機会に書かないでどうすると自分を説得してみました。
     ちょっと、西村香澄君の名前の由来まで言及する時間(文量)がないので、彼の名前はよくありそうな、男の子の名前に直しますけれども――佳純君の音を継いでいるなんて、25枚じゃ消化できません。視点が佳純なら話は別ですが。
     字だけ直して、西村直純。でも一応、純の字を継いでいることにはなっています。女の子と誤解される名前をつけた理由まで書けないだけなんですよ。

     佳純と違って病に倒れないように、の女の子風の名前。
     と同時に、佳純と同じようになってほしい、やり直しをしたい、の弟と同じ音。
     少しも似てほしくないから、の漢字がまったく違う文字。

     その命名も、想いも追懐も、すべて積み上げてきた人生と義高自身の生き方の癖の産物。
     視点やメインは孫達ですけれども、主役は、横たわっている彼だと思っています、上手く書けるといいなぁ……いや、書くぞ。書くとも。

     追悔の日々の終わりを告げる。




    …………………………

    【追懐】

     目覚まし時計より先に、階下の親機と階段横の子機がリンリンけたたましい音を発した。
     子機の一拍遅れが平行カノンのようで、午後であれば楽しめたのにと溜息をついて起きあがったところで音が途切れた。父親がとったのだろう、階段の方でぼそぼそと話す声がする。

     目やにで貼りつきそうになる瞼を開けて、ベッド脇に置いた時計を眺めた。まだ六時にもなっていない。ずいぶん非常識な電話だなと目を閉じる。夏休みなのだ、部活もないし登校日は明後日、昼までだって転がっていられそうな気がする。宿題の追いこみを始めて、床に入ったのは日付が変わってからだった。
     もう一度寝よう夢に戻ろう、とタオルケットを掛け直して、汗を吸った布団に突っ伏す。

    「聖、起きているか」
     とん、と呼びかけと同時に軽くドアを叩かれた。時間が時間だ、起きていると期待していないのか、聖の返事を待たずにドアノブが回る。
    「なに、父さん」
    「起きていたか」
     ドアが薄く開かれる。子機を握りしめた左手が見えた。
    「コールで起こされた。なんだったの、オレに用事?」

    「直純君の」
     思いがけない電話の主に目をしばたたかせた。目やにをぬぐって立ち上がる。机に置いた携帯電話を見て、電話どころかメールも受信していないことを確かめた。
    「あいつが、朝から? しかも家電?」
     問いながら大股で距離を詰める。ドアを全開にして手を出した。もう通話状態が切れていた。

    「近所の方が代理でね、ここには回覧が回らないから電話で教えてくださった。義高さんが亡くなられたそうだ。――すぐに支度ができるね? 直純君を頼みたいと」
    「本当?」
     思わず寝起きの眉間の皺を忘れた。先程まで閉じようとしていた目が意識もしていないのに開ききる。

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