忍者ブログ
09
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • 管理画面

    [PR]

    ×

    [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

    ここでも出てくるか、あなたは

     先日のネタ帳に書いていた話を試し打ちしていました。

     リアル路線にもファンタシズムにもいけるように調整しつつ。
     何故だか、あの人が出てきていました。
     常磐氏が。




    …………………………

    【試し打ちRetro】

     藁束を見つけてしまえば、あとはもう、呼吸ひとつの間だった。甲高く神経質な鳴き声が響く。藻掻いて藻掻いて柵を蹴り、蹴れども逃れられぬ馬は嘶く。
    「厭だ、如何して、消えてくれないの……っ」
     と、日和子は土を掻いて泣いた。牛馬の焼ける臭いがする。鍬の鉄錆が、炎に凌駕されていく。立ち上る炎を目の前にして、菜種の皿を引き戻すくらいしかできなかった。
    「今日は盂蘭盆でも何でもないのよ。如何して燃えているの」
     一斉に燃えるために、積まれていた訳ではなかろ、燃えているなど可笑しかろ。そう言って伸ばした手は、火には勿論、馬にも届かなかった。
     加減知らずに、火は藁束から一部が剥離した土壁へ、土壁から塀へ、塀から薪と枯れ草へ、隣家へと、北風に煽られていく。
     誰か助けて、と少女は聲の限りに叫び、継ぎの吸気で意識を手放した。馬も同時に崩れ落ち、その額に白い右手が乗せられたような幻を見た。

    拍手

    PR

    お名前
    タイトル
    文字色
    URL
    コメント
    パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
    非公開コメント
    [110]  [109]  [108]  [107]  [106]  [105]  [104]  [103]  [102]  [101]  [100


        ◆ graphics by アンの小箱 ◆ designed by Anne ◆

        忍者ブログ [PR]