否? 後者は池と言った方がよいかも知れない。
波紋が凪いだ水面に描かれるように重なって押し合っていきながら、だけども頁を繰るに従って集束に連れていかれる感覚は、何とも気持ち悪くて心地いい。ひとつとふたつがぶつかって不可思議に歪む広さは湖よりも「それ」っぽい。
どこに連れていかれるんだろうと思いながら、乗り物酔いしながら、ひとしずくまで案内された気分がします。
読み口は好みから16度くらい角度が違ったかな。
本を読み進めるうちに「これ」「ここ」の連鎖や連想が繋がってくところも、スッと風通しがよくなって開ける感覚も湖面の雨垂れのよーにたくさんあります。心洗われたり空寒さを覚えたりかなり読んでて動揺する場面が多かった。ブスブス刺さってくるタイプじゃないです。波紋を作る大粒の雨は実は痛い、というのが正しいかも…。遠くでは白く煙り、頬に温かくあたり、肩を惨めに濡らして、でも稀に大きな一粒が落ちてきて小さな私は壊れんばかりの痛みを与えられる、とかまとまらないままのべてみる。
前者は明らかに合唱モルダウあたりの気配。最後の方は筑後川歌いながら読んでたとかなんたること。
川流れが戻されそうになるたび、せせらぎや濁流の音に紛れる殺せ殺したい殺すべきでない殺したくないが淵や渦になって、船を翻弄するのだけれども、頑張れヒヅチ(携帯バカだから変換できない)。
名前だけ見てると農耕と狩猟の対立っぽく見えるけどさくっと無視。旺廈と鳳穐はゆりもどしの関係で、話はかなりスッキリしてる。疾走感、爽快さに重さや淀みがミックスされて「うおおファンタジィ!!」と叫ばずにいられない。
主な登場人物一覧が終章と解説の間に挟まっている仕様。最後に整理できていいかなー? 人物一覧を見ながら個々の人物に思いを馳せる楽しみもあり、一冊の本としても楽しい。
長くなるので百分の一語ったところで納めることにする。
どちらも読み出すと止まらない保証はしとくのできをつけて!
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