初稿発見。
今書いてるヤツの。現在原稿用紙16枚目。そろそろ転に行きたい。
白沢の癖なのか、起と同時に転が起こっていて、承がだらっと続いて、転結が大体原稿用紙4枚で纏まるという……。「ひとつ文海」とか、部誌とかの文量だとそんな感じ。「秋思ひ色のす 異花を」なんか起が十行、あとひたすら続いて一気に幕引き……会話劇の所為だろうと信じたいがなんだろうこの構成力のなさ。
起承転結なんてないようなもの、常に転、転、転、で進む話の方が面白いのでそういうのも書きたいんですが。ちょっと、今回は静かにいきたいと思う所為でしょうか。いつものように引っぱって引っぱっていこうかと。焦らしプレイです。
そうそう、初稿。
携帯に入ってました(笑)
生き返るかどうか不明なので晒しておきましょう、うん。
…………………………
【水の還る場所】
境のときだった。鏡を携え、校舎をとぼとぼと歩いていた。正規の時間ではないため、蒸し暑くて体が傾ぐ。夜明け前でも熱は残っている。これで日が昇ったらもっと暑くなるだろうと知れて、ため息をついた。熱は積立貯金されるんだろうか。それで日々暑くなっていくように感じられるのだろうか。
思考はいつだってとりとめない。
何か考えているようで、その実何も考えていないというのが鳴海聖だった。
何も感じていないようで、真実総てを感じ取っているのも鳴海聖だった。
少しだけ忘れていた記憶が頭をもたげてくる。夜明けの想出ではないが、よく似た、夜の闇の酷く暑い――燃えるように気配が熱かった日の、事実。
鳴海聖は瞑目した。
あえて分類すれば「痛恨のミス」に入って、思いだす度に苦々しく思う。後悔をしないと言い張っても、結局はしてしまう鳴海は階段を下りた。真新しい特別教室棟を音を立てずに歩く。
あの記憶は、暑いというだけで呼び起こされるようなものだっただろうか。
PCルームの前まできて、つくづく感傷に従って足が動くものだと己で呆れる。痛恨のミスのしどころであり、人がひとり呑みこまれた場所だった。
暑い。いやに暑い。
熱が凝り固まったかのような錯覚を覚える。
「いや、ちがう」
自ら零れた音に驚愕する。違う、とは何が。
今ここで、この場で過去が死んでいるのではなく――
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