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    二転三転子午線も越えていく

     わきゃあねえ。
     ないと知っていましても、そんな気がしまくる明後日までに上げねばならない(が、きっと上がっていなくても如何にかなってしまう)30枚小説です。
     流用する気満々なので、展開が変わる度にファイルを改めているんですけれど。

     solla.txt→solla30.txt→solla30a.txt

     と順調に増えていっています……。冒頭四枚だけでな。まだ1200ぐらいしか書けていない……。アルファベットが一周しないことを祈ります。
     推敲なんじゃない。
     こんな冒頭すっ飛ばしてさっさと後半書けばそれに釣られるだろう、と思われるでしょう。私だって後半をこそ書きたい。中盤のボケツッコミをさっさと書きたい。でもそこまで……行く以前に、誰を登場させるかというところで稿が変わってしまってる。本当に、旅の一歩の最初の方角がわからなくてこうなってるんで。
     否、そもそもこれはソラの話なのか、アッシュの話なのか、スイの話なのか。それだけで町のイメージカラーも変わってしまう、出会いの場所も変わってしまう、それどころか、スイが登場するか否かも変わってしまう。
     本当のこの話、荷馬車のシーンから始めていいものか。
     でも季節をそれといわずに書くにはなー……。でもそういうところで季節や町について書くと、確実に、ほぼ確実に担当者に見逃されるんだろうなー……。
     うーんむむむ。
     と思いながら、その一部を晒してみる。




    …………………………

    【solla.txt】

    Pattern1
     梢の間を冴えた風が渡っていく。ひょこ、と幕から手を伸ばした先の、天を巡っていく。普段なら、そんな趣味はない。吐き気をどうにかするために、空を見あげているに過ぎなかった。
     擦れて生じる高い音が、道標にぶつかりながら響いていく。提供された乗り心地の最悪さに堪えかねて、周りの箱や毛織物を殴った。と、急に狭苦しい世界がつんのめって、頭をぶつける。
    「何、着いたの? 曲に和んで停まっただけ――だったりしたら、酷いわよ」
     その音は淡い、淡い。小春日和でもあるまいし、どうしてこんなものが聞こえているんだ、と停まった馬車の荷台から御者席に顔を出した。
    「荷物扱いの身分で、言うねぇ。ま、嬢ちゃん、文句はこいつに」
     へろへろ気のない鞭使いで馬を叩いている。既にこの身は「嬢」に値する年を過ぎているのだが、白髪半々の男にしてみれば嬢なのであろう。幼く見られるのは非常に不利なので、ご遠慮願いたいのだが――聞き入れはすまい。
    「馬耳東風ってご存知?」
     季節は春ではないけれど、とつけ足して、歩もうとしない馬を睨めつけた。やはり非難は耳に入らないらしい。主によく似ている。
    「ご存知……ご存知たぁ、嬢ちゃん、貨物から一等客席に移ったらどうだい」
    「冗談。ふたり分も払えるものですか」
     違いねぇ、と大声で笑うと、馬の注意がまた道程に戻った。ゆるりと動き出す。

    Pattern2
     梢の間を冴えた風が渡っていく。旅人よ――、そう呼びかけて過ぎていく。その言葉を聞きながら、提供された乗り心地の最悪さに堪えかねて、周りの箱や毛織物を蹴った。これだから荷馬車は。
    「嬢ちゃん、見えたぜ」
     御者台から声がかかった。と、急に狭苦しい世界がつんのめって、頭をぶつける。
    「やっとついたの? ちゃんとギディルでしょうね?」
     荷物の隙間から顔を出して、老年にさしかかりつつある男に尋ねた。この少しの間で、もう頬が痛い。さすがは氷雪の山を背負う都――ギディル。
    「疑り深いな、ちゃあんと教会の都、ギディルさ」
     旅人よ――自由を捨て、宿を得よ――風がまた囁く。宿とを求めて(あとで)

     嬢ちゃん――声を背中で受けとめる。背負った箱と骨に響いて妙に籠った。
    「嬢ちゃん嬢ちゃん、棺桶連れてどこへ行く」
    連れて行くのではない。背負うのだ。それだけでも訂正しようかと思ったが、別にいいか、とそのまま歩いた。
    「嬢ちゃん――!」
     町を目指すだけ。無理心中のし損ないとでもみなされていない限り、他はどうでもよかった。

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